約40年ぶりに相続の法制度が変わるらしいです。
概要を言うと、
配偶者居住権の新設
相続時、自宅の所有権は全て取得せずに、無償で使用する権利(居住権)を設定することで、配偶者が、終身、無償で生活を続けることができる権利です。所有権全部を取得するのではなく、居住権の範囲(所有権より安い)で単独取得するので、他の相続人に支払う金銭の額が減るのです。
遺産分割が確定するまでの暫定的な居住関係についても、民法改正の要綱案において、短期居住権という制度が整理されているところです。
長期居住権の簡易な評価方法について(民法(相続関係)部会 資料19-2)
遺産のうち、土地建物で6000万円と現金4000万円 合計1億円の遺産で、法定相続人は、配偶者と子供二人と仮定
土地建物 | 現金 | 合計 | ||
遺産額 | 6,000万円 | 4,000万円 | 10,000万円 | |
配偶者 | 子供 | 子供 | 合計 | |
改正前 遺産額 | 5,000万円 | 2,500万円 | 2,500万円 | 10,000万円 |
配偶者 | 子供 | 子供 | 合計 | |
改正後 土地建物 | 3,000万円 | 1,500万円 | 1,500万円 | 6,000万円 |
改正後 現金 | 2,000万円 | 1,000万円 | 1,000万円 | 4,000万円 |
改正前は、遺産総額1億円の2分の1の5,000万円が配偶者、子供一人当たり2,500万円が子供の相続額となる。この場合、遺産のうち現金が4,000万円なので、子供二人に対して2,500万円の相続が出来ず、自宅を売却して資金を確保しなければならない。
改正後は、遺産のうち土地建物6000万円のうち3,000万円を配偶者が居住権として相続し、土地建物ののこり3,000万円を子供二人が所有権として1,500万円ずつと、遺産のうち現金4,000万円を配偶者2,000万円、子供1人あたり現金1,000万円を相続する。この場合、自宅を売却しなくても配偶者は自宅に住み続けることが出来、子供に対しても遺産のうちの現金で相続することが出来る。
自宅を遺産分割の対象外に
婚姻の期間が20年以上の夫婦が生前に贈与或いは遺贈された家は、遺産分割の対象から外れる。
上記例の通り、遺産総額1億円のうち、土地建物は配偶者に生前贈与されたものであると仮定すると、遺産分割の対象となるのは4,000万円の現金であるため、相続税額は、基礎控除の4,800万円を加味すると納税額は「0」となる。
しかし、配偶者の死亡後すぐに無くなった場合の2次相続では納税額が上がる可能性が高い。
2次相続の場合、6,000万円の不動産と現金1,000万円と仮定した場合、7,000万円-4,200万円=2,800万円が課税対象となり、税額が上がる。
預貯金がすぐに引き出せる
遺言書より登記
遺産の請求権
遺言書の形式・保管
法制度の内容を良く確認し、事前に対策を行えば節税することが可能になる反面、二次相続発生時の相続税額が増える可能性もある。
法制度の変更があっても、節税の際に有効なのは、計画的に、「生前贈与」を行うこと、いかに「土地評価を落とす」ことには変わりないようです。